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不動産購入は法人か個人かどちらが良い?税理士の視点でメリットやデメリットを紹介

不動産投資のイロハ

髙谷 千賀子

筆者 髙谷 千賀子

不動産投資をすることで自身の生活に潤いを持てたことが不動産会社を興した理由です!
投資の世界で「卵を一つの籠に盛るな。」という言葉がありますが、収入の柱は何本もあった方がいいと思いますし、その中で投資の必要性をとても感じていましたが、投資の中でも不動産投資がとても面白く事業として考えられたので、ぜひ不動産投資の良さを周りの方々に知っていいただきたく活動しております!


不動産の購入を「個人名義」にするか「法人名義」にするか、迷われていませんか。不動産購入には税金をはじめとするさまざまな違いがあり、選択次第で将来の負担や資産形成に大きな影響を及ぼします。本記事では、税理士としての視点も盛り込みつつ、法人と個人それぞれのメリットやデメリット、適したケースについて分かりやすく解説します。不動産購入で損をしない判断方法を押さえたい方は、ぜひお読みください。

税理士視点で見る法人名義と個人名義、それぞれの税制上の違いとメリット・デメリット

不動産を個人名義で購入するか、法人名義で購入するか。その税制上の違いとメリット・デメリットを、税理士としての視点で整理します。

まず、個人名義で購入する場合の税制上のメリットです。住宅ローン控除が利用でき、低金利の住宅ローンを活用できる点が大きな強みです。また、自宅として居住する場合には「小規模宅地等の特例」による相続税軽減や、売却時に長期譲渡所得として優遇税率(約20.315%)が適用されるなど、税負担を抑えやすい制度があります。これらは節税上、非常に有効な制度です(参照:国税庁住宅借入金等特別控除、税率等)

次に、法人名義で購入する場合ですが、法人税率が個人の累進課税に比べて低く、たとえば中小企業では所得800万円以下が15%、それ以上が23.2%と比較的低率なのが特徴です。さらに、経費として認められる項目が広がり、役員報酬・退職金・生命保険料なども損金処理でき、損失の繰越期間も法人は最大10年と個人(最大3年)より長く使えます(損失の繰越、経費範囲の拡大)

では、税理士としてどのような収入規模や所得水準で法人化が税制上有利かを整理します。

所得水準個人名義が有利なケース法人名義が有利なケース
課税所得が低・中程度(~約900万円)住宅ローン控除や長期譲渡所得の優遇など利用できるため有利法人設立・維持コストが負担になることが多い
課税所得が高い(900万円超)累進税率で税負担が増加する法人税率の低さと経費拡大、損失繰越の長期活用で節税効果が大きくなる
将来的な資産規模の拡大や相続対策が課題相続時の特例が使えるものの、規模拡大や事業承継には制限あり株式による承継や相続税対策が柔軟にできるようになる

こうした観点から、所有する不動産収益がある程度大きくなり、将来的な拡大や節税対策を重視するのであれば、法人化の検討が合理的です。逆に、自宅兼用などでローン控除や譲渡所得の優遇を生かしたい方は、個人名義を選ぶメリットが大きいと言えます。

法人名義で不動産を購入する際の費用・手間および注意点

法人名義で不動産を購入する場合には、設立時から維持まで多くの費用や手間、そして注意すべき事柄があります。ここでは、法人設立・維持の費用と手間、赤字でもかかる法人住民税の均等割や税務調査への備え、さらには途中で名義を個人から法人に変更する際の負担について整理しています。

項目 内容 主な注意点
法人設立・維持費用 定款認証手数料、登録免許税、司法書士報酬、社会保険負担など 株式会社で約25万円、合同会社で約15万円程度。維持に毎期税理士顧問料なども発生します。
赤字時の法人住民税(均等割) 利益が出なくても、自治体により年約7万円程度を納税 赤字回避できても均等割の負担は免れません。
名義変更時の税・手数料 譲渡所得税、不動産取得税、登録免許税、司法書士報酬など 個人所有から法人への移転には多重な税負担と手続き手間が伴います。

まず、法人を設立する際には定款の作成・認証、設立登記といった手続きが必要です。株式会社であれば定款認証手数料や登録免許税などを合わせ、約25万円程度、合同会社の場合は15万円程度の費用が一般的です。また、設立後も税理士による顧問対応や社会保険加入手続きなど、継続的なコストと手間がかかります。

法人で不動産を所有する限り、収益が赤字であっても法人住民税の均等割が課されます。たとえば資本金1,000万円以下、従業員50人以下の法人では、都道府県民税および市町村民税で毎期約7万円が必要です。売上の有無に関係なく必ず納税義務がある点には注意が必要です。

さらに、途中から個人所有の不動産を法人名義へ変更する場合、個人側では譲渡所得税、法人側では取得に伴う不動産取得税や登録免許税が発生します。加えて司法書士への登記申請手数料も生じるため、名義変更には多くの税金と費用負担が伴うことをしっかり見積もっておく必要があります。

個人名義での購入が向いているケースと注意点

個人名義で不動産を購入する場合、税制上のさまざまな特典が利用でき、実際に住むための住宅取得を検討している方にはメリットが大きいです。ただし、所得水準や住宅の構造・用途によっては適用外となる場合もありますので、以下のようなケース分けでご紹介します。

メリット内容
住宅ローン控除年末のローン残高の1%が所得税から控除され、最大13年(場合によっては10年)適用できます。ただし、床面積や入居時期、所得制限がある点に注意が必要です。
譲渡所得の軽減特例自宅を売却する際、3,000万円の特別控除や長期保有による税率軽減(所有期間5年超)などが使え、譲渡税負担を大幅に抑えられるケースがあります。
相続・相続対策との親和性共有名義(例:夫婦共有)で所有すると、それぞれが特別控除を受けられ、相続時の節税運用にも有効です。

一方で、以下のような注意すべきデメリットもあります。

まず、給与所得などを含めた「合計所得金額」が2,000万円を超える場合、住宅ローン控除は適用されません。所得水準が高い場合には、この特典が使えない可能性があります。

また、「住宅ローン控除」はあくまでも居住用の住宅が対象です。投資用不動産や土地のみの購入、居住していない場合には適用されません。特に個人間売買の場合は融資が難しく、ローン控除の適用自体が困難になる場合もあります。

以上を踏まえると、個人名義での購入は“自ら居住する住宅”として、ローン控除や譲渡特例などを最大限に活用したい方に向いています。ただし、購入予定の物件がローン控除の要件(床面積、耐震基準、築年数等)を満たすか、またご自身の所得水準が控除適用内かどうか、事前にしっかり確認することが大切です。

税理士として考える判断ポイントと選び方ガイド

以下の表は、収益規模や今後の投資拡大計画によって「個人での購入」と「法人での購入」のメリット・選び方の目安を整理したものです。

判断項目 個人で購入が向いている場合 法人で購入が向いている場合
収益規模 課税所得が330万円以下、もしくは900万円以下 課税所得が900万円超(会社員の場合)、または330万円超(専業大家の場合)
節税構造 青色申告控除・損益通算が可能 法人税が15~23.2%と低く、役員報酬や経費範囲が広い
投資の目的・将来像 小規模かつ単発の投資で手軽に始めたい 将来的に複数物件を増やし、事業規模を拡大したい

以上を踏まえ、以下のポイントを税理士としておすすめします。

  • 課税所得が介在するライン(会社員副業なら約900万円、専業大家なら約330万円)を基準に検討するのが一般的であり、有利な法人化タイミングとされています。特に900万円を超えるような場合、法人税率(15~23.2%)が個人の累進税率を下回るため節税の効果が大きくなります。
  • 課税所得がそれほど高くない場合には、個人のまま青色申告控除や他所得との損益通算を活用する方が税制メリットが大きいことがあります。
  • 法人化によって得られる経費計上の幅や、役員報酬・退職金制度を活用した所得分散と節税効果は無視できません。
  • ただし法人化には設立費用や毎年の法人住民税(均等割)、税理士顧問料などのコストと手間がかかりますので、それらをしっかり見積もった上で判断すべきです。

次に、購入前に税理士へ相談すべき具体項目を整理しました。検討中の方は下記の内容を参考になさってください:

  • 損失の繰り越し制度:法人では最大10年間、個人の青色申告では最大3年間である点
  • 減価償却の計算方法と年数(個人と法人で計算方法が異なる場合があります)
  • 節税構成案:役員報酬や退職金の活用による所得分散・節税の具体的枠組み
  • 法人設立・登記費用、法人住民税(均等割)、税理士報酬など初期・ランニングコストの比較
  • 将来的な投資拡大や相続対策を含めた中長期の資産管理設計の提言

これらの視点に基づいて、「現状の収益水準」と「将来の投資計画」の両面から判断を進め、最適な選択をされると安心です。

まとめ

不動産を購入する際、個人名義と法人名義のいずれが適しているかは、ご自身の収益規模や今後の投資計画、さらには税金面での有利不利を丁寧に見極めることが大切です。個人名義は、住宅ローン控除や相続時の優遇など初心者にも分かりやすいメリットが多い反面、所得額が高まると不利になる場合があります。一方で法人名義は、経費計上や損失繰越といった大きな節税効果が期待できますが、設立や維持のコストや手間、そして税務調査リスクを考慮する必要があります。どちらが本当に自分に合うか悩まれた際は、一人で判断せず、信頼できる専門家へ相談することが最適な選択への近道となります。


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